数年前に市場連動型プランの単価が高騰したため、電気料金プランがやばいといわれています。「やめておいたほうがよい」「リスクが大きい」と耳にした方が多いかもしれません。
一方で、市場連動型プランはメリットのあるプランとしても知られています。
本記事では、市場連動型のプラン解説からデメリットとメリット、おすすめの方やおすすめできない方を紹介します。
市場連動型の電気料金プランを知り、自身にあっているか確認してみましょう。
電気料金の市場連動型とは?

まずは、市場連動型の電気料金プランの内容を次の3つに分けて解説します。
- 市場に応じて変動するプラン
- 電気料金の仕組み
- 従量電灯プランとの違い
市場連動型のプランがどのような内容か知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
市場に応じて変動するプラン
市場連動型の電気料金プランは単価が固定されておらず、「日本卸電力取引所(JEPX)」の市場単価に連動して30分ごとに電気料金の単価が決まります。
またそのほかに、「電源調達調整費」と呼ばれる費用が含まれるプランも市場連動型の一つです。
電源の調達にかかる費用の一部が電気料金に含まれており、一定期間の市場平均単価で算出した結果から、電気料金が増減します。
電気料金の仕組み
市場連動型プランの電気料金の仕組みは、主に次の2つに分けられます。
種類 | 仕組み |
---|---|
従量料金型 | 基本料金+従量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金 |
燃料調整費型 | 基本料金+従量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金±電源調達調整費(燃料調整費±調達調整費) |
JEPXの取引単価に連動するタイプの従量料金型は、従量料金部分が市場と連動する費用です。
燃料調整費型では、電源調達調整費に含まれている調達調整費の部分が市場に連動します。
また、再生可能エネルギー発電促進賦課金は、再生可能エネルギーの制度により、電力を買い取った際の費用を使用量に応じて使用者が負担します。
基本料金は契約する電力会社ごとに異なりますが、市場に連動する料金が含まれているため、料金が透明化されており、比較しやすいでしょう。
従量電灯プランとの違い
市場連動型プランと従量電灯プランの違いは、次のとおりです。
従量電灯プラン | 市場連動型プラン (従量料金型) | |
---|---|---|
電力量料金 | 固定 | 市場単価に連動 |
燃料費調整額 | 1か月ごとに変動 | なし |
必ずしも上記の料金体系になるわけではありませんが、例として上記のような違いがあげられます。
基本的に料金の変動がない従量電灯プランのほうが、毎月の電気料金が一定で生活費などの予算が立てやすいです。
しかし、従量電灯プランに比べて市場連動型プランのほうが、競争力のある電力市場に適しており、料金を安く抑えられる可能性があります。
違いを知り、それぞれのメリットとデメリットを把握したうえで、自身に合う料金プランを選ぶことが大切です。
市場連動型プランがやばいといわれる理由とデメリット

市場連動型プランがやばいといわれる理由は、次のとおりです。
- 電気料金が高騰するリスクがある
- 変動を予測しづらい
やばいといわれる理由は、市場連動型プランのデメリットでもある、電気料金の変動性にあります。
まずはやばいといわれる理由を確認し、どのようなリスクがあるのか把握しましょう。
電気料金が高騰するリスクがある
市場連動型の電気料金プランは電気料金が高騰するリスクがあり、市場単価が高騰すると電気料金も同じく高騰する可能性があるため、注意が必要です。
過去には大寒波の影響を受けて市場単価が高騰し、電気料金が例年の3倍以上増額したケースもあります。
ただし、市場単価の高騰により必ずしも電気料金が増額するわけではありません。
30分ごとに市場単価に応じて従量単価の変動があることから、高騰した際に電気を使用すると高い電気料金がかかります。
こまめに市場単価をチェックし、高騰がみられた場合に電気の使用を控えれば、電気料金が高くなるリスクを回避できるでしょう。
変動を予測しづらい
市場単価の変動による電気料金の高騰リスクは、確実に回避できません。
理由は、市場単価の変動が予測しづらいためです。あらかじめ高騰する時間が判断できれば回避できますが、市場単価の変動を予測するのは難しいでしょう。
電気を使用したタイミングによっては、電気料金が高額になるリスクがあります。
また、変動が予測しづらいことから、毎月の電気料金を視野に入れた予算計画も立てにくいでしょう。
市場単価の変動が伴う市場連動型プランでは、単価の高騰に備える必要があります。
しかし、やばいといわれる理由のみで決定づけず、リスクが大きい分リターンも大きい点が市場連動型プランの特徴であることも理解しておきましょう。
市場連動型プランのメリット

市場連動型プランには、次のようなメリットがあります。
- 電気代を節約できる可能性がある
- 昼間の単価が安くなりやすい
- 倒産や撤退のリスクが低い
市場単価が高騰した際は、電気料金も高額になりますが、基本的には電気代を節約できるプランです。
時間帯によりお得に使用できるメリットがあるため、確認してみましょう。
電気代を節約できる可能性がある
市場連動型プランは、市場単価の高騰が原因で電気料金が高くなりますが、反対に市場単価が下がれば電気料金も下がります。
過去には、1kWhあたりの単価が0.01円まで下落したこともあり、電気代がお得になる場合も少なくありません。
また、電気を使用するタイミングをコントロールすれば、電気代の節約につながります。
ほかにも、単価高騰のリスクがある反面、これまでは気にせず使用していた電気の節約も意識できるようになるでしょう。
ただし、電気調達調整費で算出するタイプの燃料調整費型の場合は、1か月単位で変動するため、電気使用量のコントロールは困難です。
市場連動型プランに移行する際は、電力使用パターンやリスク許容度にあわせて検討してみてください。
昼間の単価が安くなりやすい
市場連動型プランは、昼間に電気を使用する場合に電気料金がお得になりやすい傾向にあります。
理由は、太陽光発電の影響で昼間の供給量が余剰になり、市場単価が下落しやすいためです。
そのため、昼間に電気を使用すると、割安な単価になるケースが多いです。
ただし、平均して安くなりやすい時間はあるものの、休日や季節、地域により一定ではありません。
市場連動型プランは、自身の生活スタイルに合うか確認し、メリットがある場合に移行を検討しましょう。
倒産や撤退のリスクが低い
市場連動型プランは、一方的に契約解除されるケースが基本的にありません。
理由は市場単価に経費を上乗せして電気代に反映され、電力会社が倒産したり撤退したりするリスクが低いためです。
対して固定単価のプランは、燃料費が高騰すると電力会社が赤字になるため、倒産するリスクがあります。
2020~2021年の冬にJEPXの市場単価が高騰したことや、2022年に燃料費が過去最高値を記録したことが原因で、多くの新電力会社が倒産したり事業を撤退したりしました。
2021年4月までに約700社もの新電力会社が登録したものの、2024年9月では100社以上が倒産、事業撤退しています。
しかし、市場連動型プランでは使用者が負担する電気代が高くなるのみで、電力会社の負担にはならないため、倒産や撤退のリスクが低いといえるでしょう。
市場連動型プランをおすすめできる方とできない方

市場連動型プランがやばいといわれるデメリットや、さまざまなメリットからおすすめできる方とできない方を解説します。
市場連動型プランのデメリットは決して楽観視できないものの、魅力的なメリットもあります。
自身の家庭環境や電気の使用頻度などと照らしあわせてみましょう。
おすすめできる方
市場連動型プランをおすすめできる方は、次のとおりです。
- 細かく情報収集できる方
- 意欲的に電気代を節約できる方
- 単価の低くなる時間帯や曜日に電気を使用する方
- ガスや太陽光、蓄電池などの備えがある方
- ハイリスクハイリターンを理解できる方
- 単価の高騰に備えられる方
市場連動型プランは、単価の低くなる時間帯に電気を使用できる方や、単価の高騰に備えてほかの電力を確保できる方におすすめです。
上記に当てはまらない方でも、細かく情報収集できる方なら電力の高騰を予測して対策できるかもしれません。
また、ハイリスクハイリターンの仕組みに理解があり、日常的にリターンを得られることから、リスクを負ったときに受け入れられる方にもよいでしょう。
おすすめできない方
市場連動型プランがおすすめできない方は、次のとおりです。
- 電気を使用するタイミングが調整できない方
- 情報収集が苦手な方
- 電気料金を固定費として考えたい方
- ハイリスクが受け入れられない方
上記のほかに、単価の高騰が不安な方にもおすすめできません。ただしこれまでのところ、単価の高騰は度々おこっていません。
将来的に安心できるわけではありませんが、単価が高騰するケースが多くないため、市場連動型を検討する余地は十分にあります。
市場連動型の電気料金を節約する方法

ここからは、市場連動型の電気料金を節約する方法を解説します。節約方法はさまざまですが、主に次の方法が実践しやすくおすすめです。
- 単価が安い時間帯に使用する
- 太陽光発電や蓄電池を設置する
- 省エネ家電に買い替える
それぞれの節約方法について具体的に解説します。
単価が安い時間帯に使用する
単価が安い時間帯に電気を使用すれば、市場連動型の電気料金を節約できます。
従量料金型の市場連動型プランに当てはまる節約方法であり、まずは30分ごとに変動する単価を分析しましょう。
JEPXの市場情報ページで、過去の変動履歴が示されており、自身の住むエリアの単価も調べられるため、より具体的に単価が確認できます。
過去の情報から単価の安い時間帯が判断できるため、目安にしましょう。
例として2025年2月9日を見ると、最も高い時間が18時で17.5円/kWhです。反対に最も安い時間は、15時で8.89円/kWhと表示されています。
上記の差額は8.61円/kWhとなり、ドライヤーなど1,200Wの家電を10分間使用すると約1.7円節約可能です。
電気を使用する時間を意識するのみで、1か月、1年と期間が長くなるほど節約できるようになるでしょう。
太陽光発電や蓄電池を設置する
太陽光発電を導入し、蓄電池に電気を貯めておくことも、市場連動型プランを使用する際の節約方法に有効です。
市場連動型プランは、単価が高騰した際の使用はおすすめできませんが、太陽光発電や蓄電池があると、電源を切り替えられます。
単価が高いときは太陽光発電や蓄電池を使用し、安いときのみ市場連動型プランの電気にすれば、電気料金を大幅に節約できるでしょう。
設置費用は高額ですが、補助金が活用できる場合もあるため、居住地の自治体や環境庁など国の公式サイトで確認してみてください。
省エネ家電に買い替える
市場連動型プランに変更する際、省エネ家電に買い替えるのみでも電気料金を節約できます。
単価が高騰しない限り、市場連動型プランの電気料金は基本的に安いことから、省エネ家電で使用電力を下げると効果的です。
多くの家電で省エネモデルが発売されているため、電気料金プランの変更とともに買い替えを検討してもよいでしょう。
また、スマート家電と呼ばれるスマートフォンと連携できる家電もおすすめです。
外出先からスマートフォンで対象の家電を操作できるため、電気やエアコンの消し忘れ防止にもなります。
時間帯で単価が変動する市場連動型プランとも相性がよく、無駄な電気料金を支払わずに済むでしょう。
市場連動型プランが気になる方におすすめの電力会社

ここでは、市場連動型プランが使用できるおすすめ新電力会社を紹介します。
市場連動型プランが気になるけれど、どの電力会社と契約すればよいのかわからない方は、新電力会社ごとの特徴を比較して自身に合う会社を選んでみてください。
市場連動型の新電力会社
市場連動型でおすすめの新電力会社は、市場電力です。
市場電力の特徴は、業界最安値のサービス料にあります。さらに基本料金が無料である点も魅力です。
一般的に契約するアンペア数が高いほど基本料金は高くなるため、3階建てや二世帯住宅など、人数が多い家庭の電気料金を削減できるでしょう。
また、市場電力は信頼性の高い創業39年の企業、株式会社Qvouが運営しており、信頼できる新電力会社のため安心です。
現在の電力会社へ連絡せずに変更できるほか、切り替え工事も必要ありません。
手続きも最短5分でスマートフォンから申し込めるため、今すぐ電気料金をお得にしたい方は検討しましょう。
市場連動型ではない新電力会社
自身のライフスタイルが市場連動型プランには向いていない方で、電気料金を安くしたい場合には、次の2つの新電力会社がおすすめです。
- お得電力
- のむシリカ電力
お得電力は、全国各地の料金体系にあわせてお得な電力プランを提供している新電力会社です。
東京電力を例にあげると、同等のプラン提供にもかかわらず、一部をのぞきほぼすべてのプランで安くなります。
市場連動型プランとは異なり従量電灯や時間帯別などの固定価格プランなため、月々の電気代の目安を把握しやすいメリットがあります。
のむシリカ電力は、従来のプランより電気料金を下げつつ、のむシリカがもらえる新電力会社です。
のむシリカは話題の成分、シリカを97mg/L含んだ霧島天然水で、日々の生活をサポートする飲料として知られています。
契約時に1箱(500ml×24本入り)がもらえるため、契約のみでもお得です。電気を使用すればするほど特典が増える点も魅力といえるでしょう。
お得電力と同じく従量電灯や時間帯別でのプランを提供しており、市場の価格に左右される不安定さはありません。
お得電力とのむシリカ電力も、信頼できる株式会社Qvouの新電力会社が運営しています。
電気料金の支払いにお得感を求める方は、ぜひ検討してみてください。
市場連動型の電気料金プランに関するよくある質問

市場連動型の電気料金プランに関するよくある質問に回答します。
- 市場連動型プランすべてが市場の影響を受ける?
- 市場連動型の電力会社の選び方は?
- 市場連動型ではないプランに申し込む方法は?
よくある質問の回答を確認して、疑問や不安を解決しましょう。
市場連動型プランすべてが市場の影響を受ける?
市場連動型プランとされる電気料金プランは、すべて市場の影響を受けます。
しかし、従量料金型と燃料調整費型では影響力が異なります。従量料金型は市場単価の変動がそのまま影響されるプランです。
燃料調整費型は、広義の市場連動型プランですが、料金の一部に市場連動する費用が含まれています。
大きく影響を受けるプランは、従量料金型といえるでしょう。
市場連動型の電力会社の選び方は?
市場連動型の電力会社を選ぶ際は、市場に左右されない基本料金やサービス料に注目して選ぶことで、お得に契約できます。
市場連動型の主な料金体系は、基本料金+従量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金です。
従量料金は市場単価により決まり、再生可能エネルギー発電促進賦課金は電気の使用量に応じて変動します。
そのため、基本料金と会社ごとのサービス料でお得にする手法が一般的です。
なかでも、基本料金が無料でサービス料も業界最安値水準の市場電力がおすすめです。
市場連動型ではないプランに申し込む方法は?
市場連動型ではないプランに申し込む際は、取り扱いのある電力会社を選ぶことがおすすめです。
新電力会社の多くは、広義の市場連動型プランとされる燃料調整費型を用意しています。
従量料金型とは異なり、市場による影響を受ける料金が一部であるため、変動しても影響が少なく済むプランです。
新電力会社は豊富にありますが、お得電力やのむシリカ電力は申し込みが最短5分で済み、手軽に手続きできます。
まとめ

市場連動型プランは、主に電気料金が高騰するリスクや単価の変動が予測しづらいため「やばい」といわれています。
しかし、単価の安い時間帯を把握したり省エネ家電や太陽光発電などを活用したりすれば、電気料金の節約につながり、リスクを回避しやすくなるでしょう。
また、市場連動型プランは電気料金自体が安くてお得なため、さまざまな方におすすめできます。
市場連動型プランが気になる方は、基本料金無料でお得に電気が使用できる市場電力をぜひ検討してみてください。