暖房の設定温度を適切に管理することは、冬場の電気代節約において基本となる対策の一つです。
しかし、推奨される20℃では寒さを感じる場合もあり、無理な我慢は健康を害するおそれがあります。
設定温度の調整は重要ですが、湿度管理や断熱対策といった工夫を組み合わせることで、快適さを保ちながら効率的に節約効果を高めることが可能です。
この記事では、環境省が推奨する室温の定義や具体的な節約効果、さらにエアコンの機能を活用した賢い運転方法について解説します。
正しい知識を身につけることで、無理のない節電と快適な室内環境の両立が図れます。
光熱費を抑えたい方は、ぜひ参考にしてください。
暖房の設定温度は何度がベスト?節約と快適さを両立する目安

環境省が推奨する室温20℃という目安を正しく理解し、無理なく実践することは、冬の電気代を抑えるための第一歩です。
ここでは、推奨される温度の定義や具体的な節約効果、そして設定温度と室温の関係性について解説します。
3つのポイント
- 環境省が推奨する室温20℃の定義
- 設定温度変更による節約効果
- 設定温度と室温のズレの原因
各項目について詳しく見ていきます。
環境省が推奨する室温20℃の意味と節約効果
環境省が推進するWARM BIZ(ウォームビズ)では、暖房時の室温目安として20℃を推奨しています。
重要なのは、これがエアコンの設定温度ではなく、実際の室温を指している点です。
室温を20℃程度に保つことで、過度な暖房使用によるエネルギー消費を抑え、CO2排出量の削減と家計の節約につなげることが目的とされています。
ただし、この20℃という数値はあくまで目安です。
建物の断熱性能や個人の体調、着衣の状態によって快適な温度は異なります。
無理をして体調を崩しては本末転倒ですので、自身の健康状態やライフスタイルに合わせて、柔軟に調整することが大切です。
環境省の公式サイトでも、あくまで目安としての提示であり、無理のない範囲での実践が呼びかけられています。
設定温度を1℃変えると電気代はいくら変わる?
暖房の設定温度をわずか1℃見直すだけでも、電気代には大きな影響があります。
一般的に、暖房の設定温度を1℃下げることで、消費電力は約10%削減されるといわれています。
資源エネルギー庁が公開している省エネポータルサイトのデータによると、設定温度を適切に調整することで、冬の期間全体で数千円単位の節約効果が見込める場合があります。
たとえば、月額1万円の電気代がかかっている家庭であれば、理論上は約1,000円の節約につながる計算です。
反対に、寒さをしのぐために設定温度を上げすぎてしまうと、消費電力が大幅に増え、電気代が高騰するリスクがあるため注意が必要です。
設定温度と室温の違いに注意が必要
エアコンの設定温度を20℃に設定しても、実際の室温が必ずしも20℃になるとは限りません。
部屋の広さがエアコンの対応畳数を超えていたり、建物の断熱性が低かったりすると、設定温度まで室温が上がらないことがあります。
また、暖かい空気は天井付近に溜まりやすいという性質があります。
エアコンの温度センサーは通常、本体のある高い位置に設置されているため、天井付近の暖かい空気を検知して設定温度に達したと判断し、運転を弱めてしまうことがあります。
その結果、居住空間である床付近は冷たい空気が溜まってしまいます。正確な室温を把握するためには、実際に過ごす場所に室温計を置き、その数値を見ながら設定温度を調整しましょう。
設定温度を下げても寒くない!体感温度を上げる3つの裏技

設定温度を低めに保ちながら快適に過ごすためには、温度以外の要素をうまくコントロールすることが鍵となります。
\ 設定温度を上げずに暖かく過ごす秘訣 /
本章では、湿度管理、空気循環、窓の断熱対策という3つのアプローチで体感温度を上げる方法を紹介します。
湿度を上げて体感温度アップ!加湿器や部屋干しの活用
人間の体感温度は、温度だけでなく湿度にも大きく左右され、同じ気温であっても、湿度が高いほうが暖かく感じるという性質があります。
一般的な気象学的知見では、湿度が上がると体感温度も上昇するとされています。
冬場は空気が乾燥しやすいため、加湿器を使用したり、洗濯物を部屋干ししたりして、室内湿度を40〜60%程度に保つことが有効です。
適切な湿度を維持することで、暖房の設定温度を上げなくても暖かさを感じやすくなり、結果として節電につながります。
また、適度な湿度はウイルスの活動抑制や肌の乾燥対策にもなるため、健康面でのメリットも期待できます。
サーキュレーターで暖かい空気を足元へ循環させる
暖かい空気は軽いため天井付近に滞留し、冷たい空気は重いため床付近に溜まる傾向があります。
この温度ムラを解消するために役立つのが、サーキュレーターや扇風機です。
サーキュレーターを天井に向けて設置し、上に溜まった暖かい空気を攪拌することで、部屋全体の温度を均一に近づけられます。
エアコンの対角線上に設置したり、風向きを調整したりすることで、効率よく空気を循環させられます。
足元の冷えが解消されれば、設定温度を高くしなくても快適に過ごせるようになるでしょう。
カーテンや断熱シートで窓からの冷気をシャットアウト
部屋の暖かさを逃さないためには、窓の対策が非常に重要です。
日本建材・住宅設備産業協会などのデータによると、冬場の暖房時に断熱化、気密化していない家から流出する熱の約70〜80%以上が、窓などの開口部から逃げているとされています。
窓からの冷気(コールドドラフト)を防ぐためには、厚手のカーテンを使用したり、床まで届く長い丈のカーテンを選んだりすることが効果的です。
また、窓ガラスに断熱シートを貼ったり、サッシに隙間テープを貼ったりすることで、断熱性を高めることができます。
日中はカーテンを開けて太陽の熱を取り入れ、日が落ちる前に早めにカーテンを閉めるなど、時間帯に合わせた工夫も有効です。
参照:日本建材・住宅設備産業協会「省エネ建材で、快適な家、健康的な家」
【エアコン機能】風量や電源操作で電気代を賢く抑えるコツ

エアコンの機能を正しく理解し、効率的に使用することで、無駄な電力消費を抑えられます。
NG「弱」運転
正解「自動」運転
実は「自動」が最強の省エネ。一気に暖めて、後は微風で維持するのが最も効率的です。
NGこまめに消す(30分以内)
正解短時間ならつけっぱなし
起動時に一番電力を使います。コンビニ程度の外出なら、切らない方がお得な場合も。
NGシーズン中放置
正解2週間に1回掃除
目詰まりは暖房効率を劇的に下げます。掃除だけで数%の省エネ効果も!
風量設定の選び方や電源操作の判断基準、フィルター掃除の重要性について詳しく解説します。
風量は弱より自動が節約になる理由
電気代を節約しようとして、風量を弱に設定しているケースが見られますが、実は逆効果になることがあります。
弱運転では風が弱いため、部屋全体が設定温度に達するまでに時間がかかり、その分だけ長く強い負荷がかかり続けます。
一方、自動運転は、運転開始直後は強風で一気に部屋を暖め、設定温度に近づくと自動的に微風や弱風に切り替わる仕組みです。
最も効率のよい運転状態をエアコン自体が判断して制御するため、結果的に消費電力を抑えられます。
大手エアコンメーカーも、効率的な運転方法として自動設定をおすすめしています。
頻繁に手動で風量を変えるよりも、エアコンの機能に任せるのが得策です。
つけっぱなしとこまめに消すの損益分岐点
エアコンは、運転を開始して室温を設定温度まで上げるタイミングで最も多くの電力を消費します。
そのため、頻繁にオンオフを繰り返すと、そのたびに大きな起動電力がかかり、かえって電気代が高くなることがあります。
実験データによると、30分程度の短い外出であれば、エアコンを切らずにつけっぱなしにしておいたほうが、節電になる場合があるとされています。
室温が下がった状態から再び暖め直すエネルギーよりも、保温運転を続けるエネルギーのほうが少なくて済むからです。
ただし、数時間以上の外出や就寝時など、長時間部屋を空ける場合は、こまめに電源を切るほうが確実に節約になります。
ライフスタイルに合わせて使い分けることが重要です。
フィルター掃除で消費電力を無駄なく活用する
エアコンのフィルターがホコリで目詰まりすると、空気の吸い込みが悪くなり、暖房効率が低下します。
部屋を暖めるために余計なパワーが必要となり、無駄な電力を消費する原因となります。
資源エネルギー庁のデータでは、1か月に1回〜2回程度のフィルター掃除をおこなうことで、数%程度の省エネ効果が期待できるとされています。
掃除機でホコリを吸い取る、汚れがひどい場合は水洗いをして陰干しするなど、定期的なメンテナンスを心がけることが大切です。
きれいなフィルターを保つことは、節電だけでなく、エアコン内部のカビ予防や空気の清浄化にもつながります。
温度設定の努力には限界も?電気代が高くなる本当の原因

日々の節約努力をしても電気代が下がらない場合、それは個人の工夫だけではコントロールできない要因が影響している可能性があります。
電気代が高くなる要因
- 外気温と設定温度の差
- 燃料費調整額などの単価変動
- 無理な節約による健康リスク
本章では、外気温と消費電力の関係や、料金単価の変動、そして無理な節約のリスクについて解説します。
外気温と設定温度の差が電気代を決める仕組み
エアコンはヒートポンプという仕組みを使って、外の空気中にある熱を集めて室内に移動させることで暖房をおこないます。
そのため、外気温と設定温度の差が大きければ大きいほど、熱を集めるために多くのエネルギーが必要となり、消費電力が増加します。
夏場に比べて冬場の電気代が高くなりやすいのは、室内を快適な温度にするために埋めなければならない温度差が、冬のほうが圧倒的に大きいからです。
たとえば、夏に35℃の外気を27℃にする差は8℃ですが、冬に0℃の外気を20℃にする差は20℃にもなります。
寒い日にいくら設定温度を下げても、この温度差がある限り、一定以上の電力消費は避けられないのが現実です。
燃料費調整額の高騰など自身では防げない要因
毎月の電気代は、使用した電力量だけでなく、さまざまな調整額が加算されて決定します。
その一つが燃料費調整額です。これは、原油やLNG(液化天然ガス)などの燃料価格の変動を電気代に反映させる仕組みです。
世界情勢の影響で燃料価格が高騰すると、個人の電力使用量が変わらなくても、燃料費調整額が上がり、結果として請求額が増えることがあります。
また、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)も単価に含まれています。
これらの要素は個人の節電努力ではコントロールできないため、温度設定を頑張っているのに電気代が下がらないと感じる大きな要因となります。
無理な節約で体調を崩しては本末転倒
電気代を気にするあまり、極端に低い温度設定で我慢して過ごすことは避けるべきです。
体が冷え切ってしまうと、風邪を引いたり、免疫力が低下して体調を崩したりするリスクが高まります。
体調を崩して病院にかかったり薬を買ったりすれば、節約した電気代以上の出費が発生し、本末転倒な結果になりかねません。
とくに高齢者や小さな子どものいる家庭では、健康管理が最優先です。
我慢による節約には限界があることを認識し、快適さを犠牲にせずにコストを下げる、別の仕組みを考えることが重要です。
根本的な解決策!電力会社を見直して単価そのものを下げる

温度設定や使い方の工夫に限界を感じたら、電力会社や料金プランそのものを見直すのが有効な手段です。
電力会社切り替えのメリット
- 基本料金や従量単価の削減
- お得電力の活用
- 簡単な切り替え手続き
電力自由化のメリットを活かし、基本料金や単価が安い会社に切り替えることで、無理なく節約を実現する方法を紹介します。
新電力への切り替えで基本料金や単価が安くなる仕組み
2016年の電力自由化以降、消費者は自由に電力会社を選べるようになりました。
これにより登場した多くの新電力会社は、大手電力会社とは異なる独自の料金設定やサービスを展開しています。
新電力会社は、大規模な発電設備を持たずに電力を調達したり、設備投資や広告費などのコストを抑えたりすることで、大手電力会社よりも割安な単価設定を実現している場合があります。
使用量を減らす我慢の節約ではなく、電気の単価そのものを下げる仕組みの節約であれば、普段通りの生活を送りながら、自動的に電気代を抑えることが可能です。
経済産業省資源エネルギー庁も、自身に合った料金プランを選ぶことの重要性を啓発しています。
また、送配電網は既存の大手電力会社のものをそのまま利用するため、電気の品質や供給の安定性は変わりません。
参照:経済産業省資源エネルギー庁「電力自由化で料金設定はどうなったの?」
おすすめはお得電力!使用量そのままで節約が可能
数ある新電力サービスの中でも、とくにおすすめなのが株式会社Qvouが運営するお得電力です。
お得電力は、大手電力会社の従量電灯プランに比べて、基本料金と電力量料金の両方が安く設定されているのが特徴です。
環境省推奨の20℃設定を守りつつ、さらに電気代を確実に下げたいと考えている方にとって、単価自体が下がるお得電力は非常に相性のよいサービスといえます。
公式サイトのシミュレーションなどを活用すれば、現在の使用量のままで年間どれくらいの節約が見込めるかを確認できます。
創業40年の歴史を持つ株式会社Qvouが運営しており、信頼性の面でも安心して利用できるサービスです。
切り替えは簡単?工事不要でネットから申し込むだけ
電力会社の切り替えと聞くと、面倒な手続きや工事が必要だというイメージを持つ方もいるでしょう。しかし、実際の手続きは非常にシンプルです。
一般的に、現在契約している電力会社への解約連絡は不要で、新しい電力会社への申し込みだけで手続きが完了します。
また、電線を引くような大掛かりな工事も必要ありません。
スマートメーターがまだ設置されていない場合は交換工事がおこなわれますが、原則として費用はかからず、立ち会いも不要なケースが大半です。
Webサイトから検針票などの情報を入力するだけで、約5分で申し込みが完了します。
面倒な電話連絡や書類の郵送も一切不要なため、忙しい方でもスマートフォン一つで手軽に切り替えが可能です。
暖房の節約と温度に関するよくある質問

最後に、暖房を使用する際によくある疑問について回答します。
就寝時の温度設定や他の暖房器具との併用、使い始めの目安など、日々の生活で役立つ情報をまとめました。
よくある質問
- 就寝時の適切な温度
- 他の暖房器具との併用
- 使い始めの外気温目安
ここからは、各質問に回答します。
就寝時の暖房温度は何度くらいが適切ですか?
就寝時は布団に入って保温されるため、起きているときと同じ設定温度にする必要はありません。
一般的には、16〜18℃程度、もしくはエアコンのおやすみモードなどを活用して、低めの温度設定にすることが推奨されます。
また、起床時の寒さが辛い場合は、起きる時間の30分ほど前に暖房が入るように入タイマーを設定しておくと効果的です。
一晩中つけっぱなしにする場合は、喉や肌の乾燥を防ぐために、加湿器を併用したり、濡れタオルを干したりするなどの乾燥対策をおこなうことが重要です。
こたつやストーブとの併用は節約になりますか?
エアコンと他の暖房器具を上手に使い分けることで、節約効果を高められます。
エアコンは部屋全体の空気を暖めるのが得意ですが、暖まるまでに時間がかかります。
一方、ストーブやファンヒーターは局所的かつ即効性があります。
帰宅直後などの部屋が冷え切っているときはストーブで素早く暖を取り、部屋がある程度暖まったらエアコンに切り替えて温度を維持するという使い方が効率的です。
また、エアコンの設定温度を控えめにして、消費電力の少ないこたつで足元を温めるという頭寒足熱の併用スタイルも、体感温度を保ちながら電気代を抑える有効な方法です。
暖房は何℃から使いはじめるのが一般的ですか?
暖房を使いはじめる時期に明確な決まりはありませんが、一般的には外気温が15℃〜16℃を下回ると肌寒さを感じ、暖房器具を使用する方が増える傾向にあります。
11月に入ったから、12月だからといったカレンダーの日付で判断するのではなく、室温や自身の体感に合わせて柔軟に使用することが大切です。
とくに寒暖差の激しい時期や、断熱性の低い住宅では、室温が下がりやすいため注意が必要です。我慢して体調を崩さないよう、寒さを感じたら適切に暖房を活用しましょう。
まとめ

本記事では、暖房の設定温度と節約効果の関係、および快適に過ごすための具体的な工夫について解説しました。
環境省が推奨する室温20℃を目安にしつつ、湿度コントロールやサーキュレーターの活用、窓の断熱対策をおこなうことで、設定温度を上げずに体感温度を高めることが可能です。
また、エアコンの自動運転や適切なフィルター掃除も節電に寄与します。
ただし、温度設定による節約には限界があり、外気温の影響や燃料費調整額の変動といった要因も電気代に大きく関わります。
根本的な解決策として、電力会社のプラン見直しも有効な選択肢です。
自身の生活スタイルに合った方法で、無理なく快適な冬をお過ごしください。
まずは家庭の電気代がどれだけ安くなるか、チェックしてみてください。
どれくらい安くなるかチェック!
<参考>
お得電力




