電気自動車の充電時間は平均どれくらい？車種別の目安表と計算式・料金を解説

電気自動車（EV）は環境に優しく、維持費も安い次世代の乗り物として注目されています。

しかし、ガソリン車と比べて充電時間が長く、実際の生活で不便を感じないか不安に思う方も少なくありません。

結論として、充電時間は長くなりますが、自宅での「寝ている間の充電」や外出先での「30分急速充電」を使い分けることで、ストレスなく運用が可能です。

本記事では、急速充電と普通充電の時間目安や料金、車種別のデータについて解説します。

これからEVの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

【目安】電気自動車の充電時間はどれくらい？急速と普通の平均

電気自動車の充電時間は、使用する充電器の種類によって大きく異なります。

ここでは、急速充電と普通充電の役割や時間的な違いについて詳しく解説します。

自宅での充電や外出先での充電にかかる時間の目安もあわせて確認しましょう。

急速充電と普通充電の違いとは

急速充電と普通充電は、それぞれ使用目的や充電にかかる時間が異なります。

項目	急速充電（外出先）	普通充電（自宅）
主な目的	移動中の継ぎ足し	満タン充電
時間の目安	約30分（80%まで）	約7時間〜一晩
出力（kW）	50kW〜150kW	3kW / 6kW
コスト	やや割高な傾向	深夜・市場価格で割安

急速充電は、主に外出先での継ぎ足し充電を目的としています。

短時間で多くの電力を供給できるよう設計されており、バッテリー容量の80%程度まで充電するのにかかる時間は約30分が目安です。

一方、普通充電は、自宅や宿泊施設などで時間をかけておこなう満タン充電を目的としています。

帰宅後に充電プラグを挿しておき、翌朝には充電が完了しているという使い方が一般的です。

用途に合わせてこれらを使い分けることが、快適なEVライフを送るポイントといえるでしょう。

自宅での充電（普通充電）は一晩が基本

自宅での充電は、就寝中に完了させるスタイルが基本となります。

自宅充電のポイント

• 3kWと6kWでの所要時間
• 就寝中を活用するメリット
• 日常的な継ぎ足しの考え方

一般的な家庭用コンセントを使用した普通充電の場合、出力は3kWまたは6kWです。

たとえば、バッテリー容量が40kWhのEVを空の状態から満タンにする場合、3kW充電器では約13時間以上かかりますが、6kW充電器であれば約7時間で完了します。

時間がかかるように感じるかもしれませんが、就寝前に充電プラグを接続しておけば、翌朝の出発時には充電が完了しています。

また、毎日バッテリーを使い切って帰宅するわけではありません。

日常的には減った分だけを補う継ぎ足し充電となるため、自宅充電において長い充電時間が大きなデメリットになることは少ないでしょう。

外出先での急速充電は30分ルールが一般的

外出先で急速充電を利用する場合、1回の充電時間は原則として30分までと定められています。

急速充電利用のルール

• 30分の利用制限
• 80%充電の目安
• 超急速充電器の普及

高速道路のサービスエリアや道の駅、商業施設などに設置されている急速充電器は、多くのユーザーで共有するため、1回あたりの利用時間が30分に制限されているケースが一般的です。

30分間の充電で回復する電力量は、バッテリー容量の80%程度が目安とされています。

これは、バッテリー保護の観点や、満充電に近づくと充電速度が低下する特性を考慮したものです。

そのため、長距離移動の際は30分充電して走り、また減ったら30分充電するというサイクルで走行計画を立てる必要があります。

【計算式】正確な充電時間を知る方法と主要車種のデータ

バッテリー容量と充電器の出力がわかれば、おおよその充電時間を計算できます。

ここでは、充電時間の計算式や主要車種のスペック一覧、そして急速充電30分で走行できる距離の目安について解説します。

バッテリー容量÷出力＝充電時間の計算式

充電時間は、簡単な計算式で概算できます。

充電時間の計算要素

• 基本的な計算式
• 実際にかかる時間との差
• 自分で計算するメリット

充電時間を求める基本の計算式は、バッテリー容量（kWh）÷充電器の出力（kW）＝充電時間（h）です。

たとえば、バッテリー容量が40kWhの車を6kWの普通充電器で充電する場合、40÷6＝約6.7時間となります。

ただし、この計算式で求められるのはあくまで理論上の数値です。

実際には、充電時のエネルギー損失（充電ロス）や、バッテリー保護のための制御によって充電速度が調整されるため、計算値よりも時間がかかる傾向にあります。

人気車種別に見る充電時間の目安一覧

車種によってバッテリー容量は異なり、それに伴い充電時間も変わります。

車種ごとの違いを次の表にまとめたので、参考にしてください。

車種名	バッテリー容量	普通充電（6kW）	急速充電（50kW）	備考
日産 サクラ	20kWh	約4時間	約40分	軽EVの標準モデル
日産 リーフe+	62kWh	約14時間	約60分	30分では満タン不可
トヨタ bZ4X Z（FWD）	74.7kWh	約13時間	約60分	最大746kmと国内トップクラスの長距離走行性能

※数値は目安であり、気温やバッテリー残量により変動します。

日産サクラのような軽EVであれば、バッテリー容量が小さいため、普通充電でも比較的短時間で完了します。

一方、日産リーフe+やトヨタ bZ4Xのような大容量バッテリー搭載車では、急速充電（50kW）で30分充電しても満タンにはならず、継ぎ足しが必要です。

メーカーのカタログや公式サイトには、それぞれの充電設備に応じた詳細な充電時間が記載されているため、購入検討時には必ず確認しておきましょう。

急速充電30分でどれくらいの距離を走れるか

急速充電の30分間で、実際どれくらいの距離を走れるのかは気になるところです。

走行距離の試算要素

• 電費（km/kWh）の活用
• 30分充電での距離目安
• 変動要因について

走行可能な距離は、充電できた電力量（kWh）×電費（km/kWh）で計算できます。

電費とはガソリン車の燃費にあたる数値で、1kWhの電力で何キロ走れるかを示すものです。

一般的なEVの電費を6km/kWhとし、出力50kWの急速充電器で30分間充電したと仮定すると、理論上は約25kWhの電力が充電されるため、25kWh×6km/kWh＝150km走行できる計算になります。

これが90kWの充電器であれば、さらに長い距離を走れる可能性があります。

【注意点】充電時間が長くなる要因とバッテリーへの影響

充電時間は常に一定ではなく、環境や使い方によって変化します。

ここでは、冬場の充電速度低下やバッテリー劣化を防ぐためのマナー、充電器と車の相性について解説します。

冬場や寒冷地では充電速度が低下する

冬場や寒冷地では、通常よりも充電に時間がかかることがあります。

低温時の充電特性

• バッテリー保護機能の作動
• 充電効率の低下現象
• プレコンディショニングの効果

リチウムイオンバッテリーは低温に弱く、気温が下がると内部抵抗が増加します。

そのため、バッテリーを保護するためにシステムが充電受け入れ性能を制限し、結果として充電速度が遅くなるのです。

とくに氷点下になるような環境では、急速充電をおこなってもなかなか電気が入っていかない現象が起こりやすくなります。

この対策として有効なのが、バッテリープレコンディショニング（予熱）機能です。

充電ステーションに向かう前にバッテリーを適切な温度まで温めておくことで、到着後すぐに本来の速度で充電を開始できます。

バッテリー寿命を延ばすための80%充電

バッテリーの寿命を延ばすためには、満充電にこだわらないことが重要です。

バッテリー保護の運用

• トリクル充電の仕組み
• 日常的な充電上限の推奨
• 継ぎ足し充電の影響

EVのバッテリーは、満充電（100%）に近づくと充電速度を極端に落とすトリクル充電という制御がおこなわれます。

これはバッテリーへの負荷を減らすためですが、結果として充電時間が延びる原因にもなるため注意が必要です。

また、常に満充電の状態を維持することや、高温状態で放置することはバッテリーの劣化を早める要因となります。

そのため、長距離移動の予定がない日常的な利用では、充電上限を80%程度に設定して運用することが推奨されています。

過度に神経質になる必要はありませんが、80%運用を心がけることで、愛車のバッテリーを長く健康に保つことができるでしょう。

充電器と車のスペックの低い方に合わせられる

充電速度は、充電器と車のどちらか低い方のスペックに制限されます。

充電スペックの制約

• ボトルネックの発生原理
• 車両側の受入能力確認
• 具体的な組み合わせ例

高出力な急速充電器を使えば必ず速く充電できるわけではありません。

たとえば、最大出力90kWの急速充電器を使用しても、車側の最大受入能力が50kWであれば、充電は50kWでおこなわれます。

反対に、車が150kWの超急速充電に対応していても、充電器が50kWであれば50kWまでしか出ません。

充電スタンドを選ぶ際は、自分の車の最大受入能力（kW）を把握したうえで、オーバースペックにならない適切な充電器を選ぶと効率的です。

【コスト削減】充電時間を味方につけて電気代を安くする方法

充電時間の長さはデメリットに思えますが、工夫次第で電気代を安くするチャンスにもなります。

自宅充電における電気代の仕組みや、ライフスタイルに合わせた電力プランの選び方について解説します。

充電時間は長いからこそ安い時間帯を選べる

EVの充電には時間がかかりますが、充電中に常に車のそばにいる必要はありません。

充電時間の活用法

• 放置可能な特性の利用
• タイマー充電の活用
• コスト削減への転換

ガソリンスタンドでの給油とは異なり、自宅での充電はケーブルをつないでしまえば、あとは放置できます。

この待機時間が長いという特性を活かし、電気代が安い時間帯を狙って充電することが可能です。

多くのEVにはタイマー充電機能が搭載されているため、電気料金単価が安くなる時間帯に自動で充電がはじまるように設定しておけば、寝ている間や仕事をしている間に、賢く燃料補給を済ませられます。

充電時間が長いことを逆手に取り、安い電気を選んで取り込むことで、ランニングコストを大幅に削減できるのです。

これはEVならではの大きなメリットといえるでしょう。

市場連動型プランで昼間の充電がお得になる可能性

電気代を節約する方法として、市場連動型プランを活用した昼充電が注目されています。

市場連動型プランの活用

• 昼間の電気代低下傾向
• 新しい充電スタイルの提案
• 在宅ワークとの相性

従来、電気代は夜間が安いというのが常識でしたが、近年は太陽光発電の普及により、晴れた昼間の時間帯に電力市場価格が極端に安くなるケースが増えています。

市場価格に連動するプランを契約していれば、この安い昼間の時間帯に充電することで、夜間電力よりもさらに低コストでEVを運用できる可能性があります。

在宅ワークをしている方や、休日の昼間に車を自宅に停めている方にとって、このピークシフト充電は非常に有効な節約術です。

日本卸電力取引所（JEPX）の市場価格推移を見ても、昼間の価格低下は明確なトレンドとなっています。

従量電灯のままでは電気代が高騰するリスク

EVを導入したものの、電力プランを見直さないままだと思わぬ電気代の高騰を招く恐れがあります。

電気代高騰の要因

• 使用量増加による単価上昇
• 燃料費調整額の影響
• 比較検討の重要性

一般的な従量電灯プランは、電気を使えば使うほど単価が高くなる3段階料金制度を採用しています。

EVの充電によって家庭全体の電気使用量が増えると、最も単価が高い第3段階料金が適用される範囲が広がり、請求額が跳ね上がる可能性があります。

さらに、冬場などの電力需要が高まる時期には燃料費調整額も加算されるため、何も対策をしないと、場合によってはガソリン車よりも維持費が高くなるリスクも否定できません。

EVをお得に乗り続けるためには、現在の契約プランがEV利用に適しているかを確認し、必要に応じてプラン変更や電力会社の切り替えを検討することが不可欠です。

【おすすめ】電気自動車ライフを充実させる新電力サービス

EVのメリットを最大化するためには、電力会社選びが重要です。

ここでは、それぞれのライフスタイルに合ったおすすめのサービスを紹介します。

ゲーム感覚で最安値を狙うなら市場電力

積極的に電気代を安くしたい方には、市場連動型プランを提供する市場電力が適しています。

市場電力の特徴

• 市場価格との連動性
• ピークシフトの実践
• EVユーザーとの親和性

市場電力は、日本卸電力取引所（JEPX）の市場価格に連動して30分ごとに電気料金単価が変動するプランです。

専用アプリなどで翌日の単価を確認し、価格が安い時間帯を狙ってタイマー充電をセットすることで、ゲーム感覚で電気代を節約できます。

とくに、太陽光発電が活発な昼間などの激安時間帯を活用できるため、充電時間を自分でコントロールできるEVユーザーとは非常に相性がよいサービスです。

運営元の株式会社Qvouは、このような賢い電力の使い方を提案しています。

時間を気にせず安くしたいならお得電力

細かい調整は面倒だけど確実に安くしたいという方には、お得電力がおすすめです。

お得電力の特徴

• シンプルな料金設定
• 使用量増加への対応
• 手軽な節約効果

お得電力は、地域の大手電力会社と比較して、基本料金や従量料金が一律で安く設定されていることが特徴です。

市場価格の変動を気にする必要がなく、いつ電気を使用してもお得になるというシンプルさが魅力です。

EV導入によって電気使用量が増えても、単価そのものが割安なため、大手電力会社のプランを継続するよりも確実に電気代を抑えられます。

面倒な手間をかけずにコストダウンを図りたい方にとって、安心の選択肢となるでしょう。

電気自動車の充電時間に関するよくある質問

電気自動車の充電について、よくある疑問をQ＆A形式でまとめました。

急速充電ばかり繰り返すと劣化する？

バッテリーの劣化については、過度な心配は不要です。

劣化に関する見解

• 技術の進化による影響低減
• 高温時の連続使用への注意

以前は急速充電の多用がバッテリー寿命を縮めるといわれていましたが、現在のEVは高度な温度管理システムを搭載しており、急速充電による熱の影響を最小限に抑えるよう設計されています。

ただし、真夏の炎天下などでバッテリーが高温になっている状態で、連続して急速充電をおこなうことは負荷がかかりやすいため避けたほうが無難です。

日常的な使用範囲内であれば、急速充電を利用することによる極端な劣化を心配する必要はありません。

雨の日の充電は感電しない？

電気自動車は、雨の日でも安全に充電できます。

雨天時の安全性

• 防水・漏電対策の徹底
• 基本的な安全手順

EVの充電コネクタや車両側の差し込み口は、防水設計が施されています。

また、システム側で漏電を検知すると即座に給電を停止する安全機能も備わっているため、雨の中で充電作業をおこなっても感電する心配はありません。

ただし、プラグの金属端子部分が濡れないように注意する、濡れた手でプラグの刃に触れないようにするなど、基本的な安全確認は必要です。

手順を守れば、天候にかかわらず安心して充電できます。

充電中にエアコンをつけて待てる？

充電中にエアコンを使用することは可能です。

待機中のエアコン利用

• 快適性の確保
• 充電効率への影響

多くの車種では、充電ケーブルを接続したまま車内でエアコンを使用して過ごせます。

夏場や冬場の充電待ち時間も快適に過ごせるでしょう。

ただし、エアコンに使用する電力の分だけバッテリーへの充電量が減ったり、満充電までの時間が延びたりする可能性があります。

また、バッテリーへの負荷も多少かかるため、必要最小限の利用に留めることを推奨するケースもあります。

状況に合わせて使い分けるとよいでしょう。

まとめ

本記事では、電気自動車の充電時間の目安や料金、バッテリーへの影響について解説しました。

急速充電は外出先での継ぎ足し用として約30分、普通充電は自宅での満タン用として一晩が基本となります。

充電時間は長くなりますが、その特性を活かして電気代の安い時間帯に充電することで、ガソリン車よりも維持費を大幅に抑えることが可能です。

とくに、市場連動型プランやEV専用プランを活用すれば、充電コストをさらに最適化できます。

EV導入を機に電力プランも見直すことが、賢いカーライフを送るための重要なポイントです。

自身の状況に合うと感じた方は、ぜひ公式サイトで詳細を確認してみてください。

＜参考＞
お得電力

市場電力