お風呂の追い焚きや風呂自動機能は、毎日の生活に欠かせない便利な機能です。
しかし、「追い焚きと風呂自動はどっちが安いのか」「ガス代や電気代が高くなるのではないか」と疑問を持つ方も少なくありません。
結論として、ガス給湯器なら追い焚き、エコキュートなら高温足し湯がお得ですが、お湯の状態によっては入れ替えが適している場合もあります。
本記事では、給湯器のタイプ別に光熱費を抑える最適な操作方法や、冬場の節約テクニックについて解説します。
正しい知識を身につけ、効果的に光熱費を削減したい方は、ぜひ参考にしてください。
【結論】ガス給湯器なら追い焚き・エコキュートなら高温足し湯が基本

ガス給湯器とエコキュートでは、光熱費を抑えるための最適な操作方法が異なります。
まずは、それぞれの機器におけるコスト削減の原則と、お湯を入れ替えるべき判断基準について確認します。
3つのポイント
- ガス給湯器における光熱費の損益分岐点
- エコキュートで高温足し湯が推奨される理由
- 前日のお湯など冷めきっている場合は入れ替えがお得
ここからは、各項目について詳しく解説します。
ガス給湯器における光熱費の損益分岐点
ガス給湯器を使用している場合、基本的には追い焚き機能を利用する方が、新たにお湯を張るよりも光熱費を安く抑えられます。
その理由は、ガス給湯器の加熱の仕組みにあります。
追い焚きは、浴槽に残っているお湯を配管内に循環させ、バーナーで温め直してから浴槽に戻す方法です。
この場合、水道水から沸かす必要がないため水道代がかからず、すでに一定の温度があるお湯を加熱するため、ガスの消費量も少なく済みます。
ただし、残り湯が極端に少ない場合は、自動湯はりの方が効率的なケースもあります。
エコキュートで高温足し湯が推奨される理由
エコキュートなどの電気給湯器を使用している場合は、ガス給湯器とは異なり高温足し湯機能を使うのが最も省エネで経済的です。
エコキュートの追い焚き機能は、貯湯タンク内の熱を使用して、浴槽のぬるくなったお湯を熱交換器で温める仕組みです。
この過程でタンク内の熱を消費するため、効率が悪くなる場合があります。
一方で高温足し湯は、タンク内に貯めてある熱いお湯をそのまま浴槽に注ぎ込む機能です。
熱交換によるエネルギーロスが発生しないため、最も効率よくお湯を温められます。
前日のお湯など冷めきっている場合は入れ替えがお得
追い焚きがお得なガス給湯器でも、お湯の温度が大幅に下がっている場合は、残り湯を捨てて新しくお湯を張り直す「入れ替え」の方が安くなる可能性があります。
冷たい水を追い焚きで適温まで上げるには、多くのガスや電気エネルギーが必要です。
このときにかかるエネルギーコストが、新規に水道水を入れて沸かすコスト(水道代+加熱コスト)を上回るケースがあるためです。
目安として、水温が残り湯の温度が外気温程度(約15℃〜20℃以下)まで下がっている場合は、沸かし直すエネルギーコストが水200Lの水道代(約40〜50円程度)を上回るケースが多くなります。(※具体的な金額は地域差があるため目安です。)
具体的な損益分岐点は地域ごとの水道料金やガス料金によって異なりますが、前日の残り湯など完全に冷めきっている場合は、衛生面も考慮して入れ替えを検討しましょう。
【仕組み】なぜコストに差が出る?機能の違い

給湯器のボタン一つで光熱費が変わるのは、それぞれの機能が作動する際のお湯の流れや加熱方法が異なるためです。
ここでは、追い焚き、足し湯、自動保温のメカニズムと、それに伴うコストの違いについて解説します。
3つの機能の違い
- 追い焚き機能のメカニズムとメリット
- 風呂自動・足し湯機能の特徴と注意点
- 意外と高い自動保温の電気代・ガス代
それぞれの内容を具体的に解説します。
追い焚き機能のメカニズムとメリット
追い焚きとは、浴槽にあるお湯を吸い込み、給湯器内部で温めてから再び浴槽に戻す機能のことです。
この機能の最大の特徴は、水を循環させているのみであり、新しい水を追加しない点です。
そのため、追い焚きボタンを押しても水道代は一切かかりません。
ただし、設定温度になるまでバーナーが燃焼し続けるため、ガス代や電気代は発生します。
冷めたお湯を温めるにはエネルギーが必要となるため、頻繁に使用すると燃料費がかさむ点には注意が必要です。
風呂自動・足し湯機能の特徴と注意点
風呂自動ボタンは、設定した水位と温度を自動的に保つための便利な機能ですが、その過程で水道代が発生する可能性があります。
多くの給湯器では、風呂自動モード中に湯量が減ると、自動的に足し湯をおこないます。
これは文字通り、新しいお湯を浴槽に追加する動作です。
浴槽のお湯が足されることで快適度はアップしますが、追加されたお湯分の水道代と、その水を温めるためのガス代や電気代が加算されます。
とくにフルオートタイプの給湯器は、水位センサーによって自動で足し湯をおこなう機能が充実しているため、気づかないうちに水道使用量が増えていることがあります。
コストを意識する場合は、自宅の給湯器タイプを確認し、自動足し湯機能をオフにするなどの設定確認が有効です。
意外と高い自動保温の電気代・ガス代
お風呂の準備ができたあと、誰も入っていないのにお湯の温度を維持し続ける自動保温機能は、意外と多くの光熱費を消費しています。
自動保温は、湯温が下がるとセンサーが感知し、こまめに追い焚きを繰り返す仕組みです。
入浴していない時間帯にもガスや電気が使われ続けるため、積み重なると大きな無駄になります。
省エネセンターなどの資料でも、保温時間を短縮することは省エネ効果が高いとされています。
家族の入浴間隔が1時間以上空くような場合は、一度自動保温を切り、次に入る方が直前に追い焚きをする運用にした方が、無駄なエネルギー消費を抑えられます。
【節約術】ボタン操作以外で光熱費を抑える効果的な方法

給湯器の操作のみでなく、物理的な保温対策や電気を使う時間帯の工夫など、少しの意識で光熱費をさらに削減できます。
ここでは、効果的な3つの節約術を紹介します。
3つの節約術
- 2日目の追い焚きは安いが雑菌リスクに注意が必要
- 物理的な保温対策で追い焚き回数を減らす
- 電気を使う時間帯を工夫して単価を下げる
それぞれの内容を具体的に解説します。
2日目の追い焚きは安いが雑菌リスクに注意が必要
水道代を節約するために、前日の残り湯を追い焚きして2日目も使う方法は、金銭的なコストダウンにはつながりますが、衛生面でのリスクを理解しておく必要があります。
人が入浴したお湯には、皮脂や汚れとともに細菌が含まれています。
衛生微生物研究センターの公表データによると、入浴直後のお湯と比べて、一晩放置したお湯の細菌数は数千倍に増殖するケースもあるようです。
追い焚き配管内部に汚れが蓄積したり、ヌメリの原因になったりすることもあります。
コスト削減だけを優先せず、衛生面とのバランスを考慮し、再利用は洗濯への活用にとどめるなどの判断も重要です。
出典:お風呂の残り湯は使ってもよい? – 株式会社 衛生微生物研究センター
物理的な保温対策で追い焚き回数を減らす
光熱費を抑えるための最も確実な方法は、お湯の温度を下げないことです。
お湯が冷めなければ、追い焚きや足し湯をする必要がなくなり、結果的に電気代を抑えられます。
具体的には、浴槽のフタをこまめに閉めることが非常に効果的です。
浴槽のフタがない場合は、お湯の表面にアルミ保温シートを浮かべるのみでも放熱を抑えられます。
家族が入浴する際は、なるべく間隔を空けずに続けて入ることで、追い焚きの回数を最小限に抑えることが可能です。
電気を使う時間帯を工夫して単価を下げる
エコキュートや電気給湯器を使用している場合、ボタン操作以上にいつ電気を使うかがコスト削減の鍵を握ります。
これまでは深夜電力を利用してお湯を沸かすのが一般的でしたが、太陽光発電の普及により、昼間の電気代が安くなるケースが増えています。
契約している電力プランによっては、太陽光発電が豊富な昼間の時間帯に沸き上げや追い焚きをおこなった方が、夜間よりも電気代単価が安くなることがあるのです。
エコキュートは通常、夜間にお湯を沸かしますが、市場電力のようなプランであれば、アプリで翌日の安い時間を狙って昼間に沸き上げ時間を変更するのみで、大幅な節約が可能になります。
自身の契約プランを確認し、時間帯による単価の違いを活かしたピークシフトを意識することで、効率的に光熱費を下げられます。
【根本解決】ボタン操作の節約には限界がある

日々の節約努力は大切ですが、燃料費の高騰などの影響により、使用量を減らしても電気代が下がりにくい現状があります。
2つの現実
- 毎日の努力だけではカバーできない電気代高騰の現実
- ライフスタイルに合わせて電力プランを選ぶ重要性
ここからは、各項目について詳しく解説します。
毎日の努力だけではカバーできない電気代高騰の現実
こまめな追い焚きの停止や、フタの開け閉めで節約できる金額は、月額に換算すると数百円程度にとどまることが一般的です。
対して、電気代の単価自体が値上がりしていると、節約効果を実感しにくくなります。
電気料金には、使用量に応じた料金のみでなく、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金が含まれています。
これらは世界情勢や政策によって変動するため、個人の努力ではコントロールできません。
基本料金や電力量料金(kWhあたりの単価)が高いプランを契約したままでは、どれだけ節約しても請求額を大きく下げることは難しいのが現状です。
家計の負担を根本的に減らすためには、使用量を減らす努力と並行して、料金単価そのものを見直す必要があります。
ライフスタイルに合わせて電力プランを選ぶ重要性
電気代を安くするためには、家庭のライフスタイルや好みに合った電力プランを選ぶことが重要です。
たとえば、面倒な計算や管理をしたくない方には、使用量にかかわらず一律で単価が安くなる定率割引型のプランが適しています。
一方で、ゲーム感覚で積極的に節約を楽しみたい方や、エコキュートを活用して時間帯を工夫できる方には、市場価格に連動する市場連動型のプランが大きな効果を発揮します。
自身の家庭が手間なく安くしたい派なのか、工夫して極限まで安くしたい派なのかを見極め、最適なプランを選択しましょう。
【おすすめ】お風呂の電気代を賢く下げる2つの新電力サービス

お風呂の光熱費削減にとくに効果的なのが、市場電力とお得電力という2つの新電力サービスです。
それぞれの特徴とおすすめのユーザー層を紹介します。
おすすめサービス
- 【市場電力】昼間の追い焚き・沸き上げで電気代を最小化
- 【お得電力】基本料金も単価も一律でお得な安心プラン
それぞれの内容を具体的に解説します。
【市場電力】昼間の追い焚き・沸き上げで電気代を最小化
市場電力は、エコキュートを利用している方にとくにおすすめな新電力サービスです。
日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格に連動して電気料金が決まるプランを提供しており、太陽光発電の発電量が多い晴れた日の昼間などは、市場価格が極めて安くなる傾向があります。
安い時間帯を狙ってエコキュートの沸き上げや追い焚きをおこなえば、夜間電力よりもさらに安いコストでお湯を使用可能です。
公式サイトの情報に基づくと、市場価格が0.01円/kWhになるタイミングを活用することで、大幅なコストダウンが期待できます。
アプリなどで価格変動を確認しながら、賢く電気を使いたい方に最適なサービスといえるでしょう。
【お得電力】基本料金も単価も一律でお得な安心プラン
ガス給湯器を使用している方や、細かい電気代の変動を気にしたくない方には、お得電力がおすすめです。
お得電力は、各地域の大手電力会社の従量電灯プランと比較して、基本料金と電力量料金の両方が一律で安く設定されています。
電気を使う時間帯や市場の動向を気にする必要がなく、普段通りの生活をするのみで自然と電気代を削減できます。
大手電力会社からの切り替えであれば、初期費用や解約金のリスクも低く、安心して申し込める点が魅力です。
確実な節約を求める方には、シンプルでわかりやすいお得電力がおすすめです。
[Q&A] 追い焚きと風呂自動に関するよくある質問

最後に、追い焚きや風呂自動機能に関して、よく寄せられる質問に回答します。
Q. ガス代と電気代、冬場はどちらが高くなりやすいですか?
冬場は電気代よりもガス代の上昇幅が大きくなりやすい傾向があります。
主な理由は、水温の低下です。夏場に比べて冬場の水道水は非常に冷たく、お風呂のお湯を適温にするために必要なエネルギー量が急増します。
そのため、冬場こそお風呂の沸かし方や保温対策を見直し、ガス消費量を抑える工夫が重要になります。
Q. 一人暮らしでも追い焚き付きの物件を選ぶべきですか?
一人暮らしの場合、追い焚き機能は必須ではありませんが、あると便利な機能といえます。
一度お湯を張ってすぐに入浴し、そのまま流すスタイルであれば、追い焚き機能は不要です。
しかし、長風呂が好きで途中で温め直したい場合や、水道料金が高い地域に住む場合は、追い焚き機能があると快適かつ経済的です。
ただし、プロパンガス(LPガス)の物件で追い焚きを頻繁に使用すると、ガス代が高額になる可能性があります。
物件選びの際は、都市ガスかプロパンガスかを確認し、ライフスタイルに合わせて判断することをおすすめします。
Q. 入浴剤を入れたまま追い焚きしても大丈夫ですか?
入浴剤の種類によっては、追い焚き配管や給湯器内部の部品を傷める原因になるため注意が必要です。
とくに、硫黄成分を含むもの(温泉地で販売されている湯の華など)、塩分を含むもの、白く濁るタイプ(酸化チタンを含むもの)などは、金属部品のサビや劣化、配管の詰まりを引き起こすリスクがあります。
主要な給湯器メーカーの取扱説明書では、中性の入浴剤や透明なタイプが推奨されていることが一般的です。
追い焚き可能と表記されている入浴剤を選ぶか、使用上の注意をよく確認してから使用しましょう。
まとめ

本記事では、追い焚きと風呂自動のどちらが経済的か、給湯器の種類やお湯の状態に応じた最適な選択について解説しました。
ガス給湯器の場合は水道代がかからない追い焚きが有利であり、エコキュートの場合はタンク内の熱を有効活用できる高温足し湯が最も効率的です。
ただし、前日の残り湯など水温が大幅に下がっている場合は、無理に温め直すよりも新しくお湯を張り直す方がコストを抑えられる傾向にあります。
日々の小さな節約も大切ですが、根本的な光熱費削減には電力会社のプラン見直しも効果的です。
自身の状況に合うと感じた方は、ぜひ公式サイトで詳細を確認してみてください。
<参考>
お得電力




