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新電力の撤退・倒産はなぜ起こる?取るべき対処法や失敗しない電力会社の選び方【撤退会社一覧も紹介】

電力の小売自由化によって電力会社の選択肢が広がり、近年では多くの家庭で新電力を利用する流れが進んでいます。

しかし、電力価格の高騰による経営環境の悪化などが原因で、撤退や倒産する新電力も多数あり、「どの新電力会社を選べばよいのか」と悩んでいる方も多いでしょう。

安心して新電力を利用するためには、契約先の選び方や今後のリスクに備える視点が大切です。

本記事では、新電力の撤退が起きる背景や、契約中の電力会社が撤退した場合の対処法について、詳しく解説します

また、将来的な電気料金の上昇リスクにも備えられるサービスの選び方や、節約につながるサービスも紹介します。ぜひ参考にしてください。

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  • 市場連動型の電力会社と契約している方
  • 契約するアンペア数が高い方
  • 切り替え手続きが面倒な方

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目次

【一覧】新電力の撤退・倒産リスト | 有名な新電力の撤退事例を紹介

2022年10月から2024年9月までの新電力の登録件数と、撤退や倒産件数を次の表にまとめました。

年月登録件数事業撤退・倒産
2022年10月733件75件
2023年4月726件96件
2023年10月731件99件
2024年4月727件113件
2024年9月734件123件
参照元:電力小売全面自由化の進捗状況について|経済産業省

登録件数は横ばいで推移していますが、事業撤退や倒産は年々増えていることがわかります。

実際に、新電力のなかには市場価格の変動によって、経営が立ち行かなくなった企業もいくつか存在します。

たとえば、2017年に新電力サービスを開始した「ファミリーエナジー」は、2021年8月に破産手続きをおこない、わずか4年でサービスを終了しました

2020年末から2021年初頭にかけて発生した電力価格の高騰の影響を受け、経営悪化に追い込まれたことが原因です。

今後も市場価格の高騰が続く場合、同様の理由で撤退を余儀なくされる新電力会社が出てくる可能性は十分にあるといえるでしょう。

【なぜ?】新電力の撤退・倒産が相次ぐ理由

新電力の撤退や倒産が相次ぐ理由は、主に次の3つです。

  1. 卸電力市場(JEPX)の価格高騰
  2. 世界情勢によるエネルギー価格の高騰
  3. 燃料費調整額の上昇と上限撤廃の影響

それぞれの理由について、詳しく解説します。

理由1:卸電力市場(JEPX)の価格高騰

新電力会社は、大手電力会社のように自社で発電設備を持たないケースが多く、日本卸電力取引所(JEPX)で調達した電力を販売するビジネスモデルを採用しています。

日本卸電力取引所(JEPX)は電力の卸売市場です。

気温や需要、発電量、燃料価格など多くの要素に影響される電力価格は日々変動します

2020年末から2021年初頭にかけて、寒波の影響で電力需要が急増し、同時に供給量が不足しました。

結果として、卸電力価格が通常の10倍以上に高騰する異常事態が発生します。

仕入れ価格が高騰しても、契約上すぐに電気料金を値上げできない新電力会社も多く、経営を圧迫する要因となりました。

理由2:世界情勢によるエネルギー価格の高騰

卸電力価格高騰の背景には、世界的なエネルギー価格の上昇も大きく関係しています。

たとえば、2022年以降はロシアによるウクライナ侵攻や中東地域の地政学的リスクが影響し、原油や液化天然ガス(LNG)などのエネルギー資源が世界的に高騰しました。

上記の要因により、火力発電の燃料調達コストが大幅に上昇し、発電コスト全体が高まりました。

電力の多くを火力発電に依存する日本では、燃料調達コストの影響をダイレクトに受け、結果的に電力市場価格が不安定化しています

自社で発電所を持たない新電力は外部要因の影響を受けやすく、長期的な安定経営が難しくなりやすい状況にあるといえるでしょう。

理由3:燃料費調整額の上昇と上限撤廃の影響

電気料金の一部として毎月の請求に反映される「燃料費調整額」の変動も、新電力の撤退を後押しする要因の一つです。

燃料費調整制度は、原油やLNGなどの価格に応じて電気料金を調整する仕組みで、発電コストの変化が消費者に転嫁されます。

従来は、大手電力会社を中心に燃料費調整額に上限を設けており、一定以上の値上げは抑えられていました。

しかし、近年は燃料価格の高騰を受けて上限を撤廃する動きが広がり、家庭の電気料金が一気に上昇する事態が起きています

価格競争力を重視している新電力会社にとっては、消費者離れのリスクが高まり、結果的に経営の維持が難しくなるケースも少なくありません。

契約中の新電力が撤退!?消費者が取るべき対応と手続き

契約中の新電力が撤退の危機に陥った場合、消費者が取るべき対応と手続きは次のとおりです。

  • 電力会社からの通知内容を確認
  • 新しい電力会社を探して契約
  • 何もしない場合は「最終保障供給」へ移行

それぞれの対応と手続きについて、詳しく解説します。

電力会社からの通知内容を確認

新電力会社が事業撤退や倒産する見通しとなった場合、まずは契約者に対して書面やメールなどで通知が届きます。

通知の内容には、サービス終了日や最終請求額、電力供給の終了時期、新しい契約先への切り替えに関する案内などが記載されています。

通知を見落とすと、気付かないうちに電力供給が止まるおそれもあるため、届いた内容は必ず確認しましょう

また、新電力会社から送られてくるメールやマイページのお知らせなどを漏れなくチェックしてみてください。

新しい電力会社を探して契約

撤退の通知を受け取ったら、早めに次の電力会社を選び、契約手続きをおこなう必要があります。

電力会社の切り替え手続きをおこなう際には、次のものを用意します。

  • 契約中の電力会社の情報(電力会社名やお客様番号)
  • 供給地点特定番号
  • 本人確認書類
  • 切り替え希望日

供給地点特定番号は、検針票や電力会社のマイページ、メールなどで確認できます。

申し込みの際に切り替え希望日を尋ねられることもあるため、事前に決めておくとスムーズに切り替えが進むでしょう。

なお、契約中の電力会社との解約手続きは新しい電力会社が代行するため、消費者側が手続きをおこなう必要はありません。

何もしない場合は「最終保障供給」へ移行

撤退通知後も新しい電力会社と契約しない場合、一定期間は地域の大手電力会社による「最終保障供給」に移行します。

最終保障供給とは、撤退や倒産などにより電気の契約先がなくなった消費者に対して、一時的に大手電力会社が電力を供給する救済措置のことです。

最終保障供給への移行は自動でおこなわれるため、契約先が撤退したり倒産したりしても突然電気が止まることはありません。

ただし、最終保障供給の電気料金は割高に設定されていることが一般的です。

長期間利用すれば経済的な負担になることもあるため、最終保障供給はあくまでも一時的な措置と捉え、早めに新しい電力会社を探して契約しましょう。

撤退リスクを避ける!失敗しない電力会社の選び方

撤退リスクを避けるためにも、新電力を選ぶ際は次のようなポイントをチェックしましょう。

  • 企業の経営状況や安定性を確認
  • 料金プランをチェック
  • 契約期間・違約金の有無
  • ポイント還元や特典も確認

新電力を選ぶ際に重視するべきポイントについて、次の項目から詳しく解説します。

ポイント1:企業の経営状況や安定性を確認

新電力を選ぶ際には、経営基盤が安定しているかどうかの確認が大切です。

大手企業の子会社や、複数年にわたり黒字経営を維持している企業であれば、安定性は高いと考えられるでしょう。

また、企業の公式サイトで公開されている決算情報や、業界内でのシェア、サービスの継続年数なども参考になります

一方で、新規参入したばかりの企業や、急激に顧客を拡大している企業は、将来的にキャッシュフローが悪化するリスクがあります。

長期的にサービスを利用する前提であれば、安定性を重視して新電力を選びましょう。

ポイント2:料金プランをチェック

新電力は豊富な料金プランと電気料金の安さが魅力ですが、契約前に料金の内訳や仕組みを確認しておきましょう。

定額プランや従量制、市場連動型など、新電力会社によって料金システムは大きく異なります。

自身のライフスタイルに合わないプランを選ぶと、電気料金が割高になるケースもあるため、注意が必要です。

燃料費調整額や再エネ賦課金がどのように設定されているのかも、あわせてチェックしましょう。

料金の変動リスクを理解したうえで、納得できる内容かどうかを確かめてみてください。

ポイント3:契約期間・違約金の有無

電力会社の料金プランには、一定の契約期間が設定されているものもあります。

契約期間の途中で解約すれば解約違約金が発生するケースもあるため、契約条件を事前に確認しておきましょう

たとえば「契約期間は2年間で、2年以内に解約すると○万円の解約違約金が発生する」など、契約に縛りが設けられているケースがあります。

新電力のサービスは市場価格の変動や世界情勢の影響を受けやすいため、解約の自由度が高いプランを選んでおけば、将来的に状況の変化にも柔軟に対応できるでしょう。

ポイント4:ポイント還元や特典も確認

新電力のなかには、ポイント還元やキャンペーン特典を用意している会社もあります。

たとえば、楽天ポイントやPontaポイントなどが貯まるプランは、日常的にポイントを活用している方にとっては大きな魅力です。

また、ポイント以外にも、ギフトカードやプレゼントを特典として受け取れる新電力も存在します。

お得に新電力を活用したい場合には、公式サイトでキャンペーン内容を確認してみましょう。

ただし、キャンペーンが充実していても、基本料金が高めに設定されているケースもあります。あくまでトータルコストの比較が重要です。

電気代節約の新常識「市場連動型プラン」とは?

新電力は豊富な料金プランを提供していますが、とくに注目されているプランは「市場連動型プラン」です。

市場連動型プランは、日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格に応じて電気料金が変動する仕組みです。

電力価格が安い時間帯や時期をうまく活用すれば、電気代の節約に期待できます。

従来の固定価格プランとは異なり、市場の動きによって料金が上下するリスクはありますが、日々の使い方を工夫すれば大きなメリットを得られるでしょう。

市場価格に連動する電気料金プラン

市場連動型プランの電気料金は、日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格に基づいて日々時間帯ごとに変動します。

電力需要が少ない時間帯は価格が下がる傾向があるため、日中のオフピークに電気を多く使用する家庭であれば、節約効果に期待できるでしょう。

一方で、寒波や猛暑などにより電力需要が急増すれば、短期間で電気料金が大きく跳ね上がるリスクもあります。

日常的に電気料金が高くなりやすい時間帯を意識し、生活スタイルを調整しながら電気を使用すれば節約につながります。

市場電力なら工夫次第で大幅な電気代節約が可能

市場電力
おすすめな方
  • 市場連動型の電力会社と契約している方
  • 契約するアンペア数が高い方
  • 切り替え手続きが面倒な方

電気代シミュレーション

現在の電気料金
月額 約4,849 円
条件(例):Looopでんき スマートタイムONE(電灯)

市場電力に切り替えると…
年間の電気代:約1,360円お得!
5年間の電気代:約6,800円お得!
※消費税込み
※2024年4月時点
※再生可能エネルギー発電促進賦課金は含んでおりません

市場電力は、市場連動型プランを採用している新電力会社です。

電力市場の価格に連動する料金体系を採用しており、電力需要が落ち着いている季節や時間帯などは、電気料金を抑えられる可能性があります。

サービス料が業界最安値水準に設定されているため、固定費を極力抑えたい方に向いています。

また、電気を使用した分のみが請求されるため、無駄なコストを避けたい方にとってメリットの大きいプランといえるでしょう

日常的に電気使用量を意識できる方や、生活スタイルを工夫できる方は、ぜひ市場電力への切り替えを検討してみてください。

新電力撤退に関するよくある質問

新電力撤退に関して、よくある質問は次のとおりです。

  • 今後も新電力の撤退は続く?
  • 大手電力会社が潰れる可能性はある?
  • 新電力の経営危険度を事前に知る方法は?
  • 太陽光発電や蓄電池の導入は有効?

それぞれの質問に回答します。

今後も新電力の撤退は続く?

今後も一定数の新電力会社が撤退する可能性はあるでしょう。

日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格の高騰に対応しきれず、経営難に陥る新電力会社が存在することが理由です。

2020年10月の新電力の撤退と倒産件数は27件でしたが、2024年9月は123件と、約4.5倍に増えています。

ただし、すべての新電力がリスクを抱えているわけではありません。経営基盤が安定しており、透明性が高い経営を続けている新電力会社であれば安心して利用できます。

ただし、撤退のリスクを避けるためには、契約前に信頼できる会社かどうかを見極めることが大切です。

参照元:電力小売全面自由化の進捗状況について|経済産業省

大手電力会社が潰れる可能性はある?

大手電力会社が倒産する可能性は、極めて低いとされています。

大手電力会社は、発電所や送配電設備などのインフラを保有しており、地域における電力供給の要となる存在です。

また、発電コストの管理や燃料調達力においては新電力よりも優位性があり、短期的な価格変動にも柔軟に対応できる体制があります。

新電力の経営危険度を事前に知る方法は?

新電力の経営危険度を見極めるためには、直近の決算や設立年数、親会社の有無などを企業の公式サイトで確認しましょう

急激に顧客数を伸ばしている企業であれば、電力の仕入れ体制が追いついておらず、価格高騰時にリスクを抱える可能性があります。

ほかにも、SNSや口コミサイトで、利用者の評判やサポート対応の評価も確認しておくと安心です。

料金の安さのみで判断せず、経営の継続性から比較検討すれば、リスク回避につながるでしょう。

太陽光発電や蓄電池の導入は有効?

太陽光発電や蓄電池の導入は、電気代の高騰対策として有効な手段の一つです。

市場価格が変動しやすい状況下では、自家発電によって電力会社からの買電量を減らすことで、電気料金の節約につながります。

ただし、太陽光発電や蓄電池は初期投資が大きく、地域によっては日照条件に左右される可能性もあります。

実際に導入する前にシミュレーションをおこない、計画を立てるようにしましょう。

まとめ:新電力が撤退しても電気は止まらない!慌てず切り替え手続きをしよう

新電力の撤退や倒産が相次いでいる背景には、卸電力市場の価格高騰や世界的なエネルギー価格の上昇、燃料費調整制度の変化など、さまざまな要因があります。

契約中の電力会社が撤退しても、電力は最終保障供給により一時的に継続されるため、電気が突然止まる心配はありません

ただし、撤退や倒産の通知を受けた際には、内容を確認して、早めに信頼できる電力会社に切り替えましょう。

なかでも、市場電力は使用した分のみ電気料金が発生する仕組みです。

電気の使い方を工夫しながら無理なく節約したい方は、ぜひ市場電力を検討してみてください。

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